自己実現とカミングアウト

2016年3月20日

コラム

 

ゆうじ
こんにちは、ゆうじです。
10月に少しずつカミングアウトをしていきたいというコラムを書いて数ヶ月。
実は会社の人や大学の頃の先輩などなど、少しずつ自分の話をするようになりました。
(参照コラム:http://npobr.net/column/id524)

今回はその中でも自分のなかで第一歩となる、バブリングをスタートしてから初めてのカミングアウト。会社の社長へカミングアウトした時のお話です。

実はその時ちょうど転職を考えていました。
ゲイとして、40歳を前にして、キャリアや社会的関心を踏まえて、これからどのように生きていくか考えた結果の判断でした。
よく可愛がってもらっていた社長には、どこかでちゃんと話をしたいなーと思ってたら、たまたま2人でお昼に行く機会がありました。

お昼を食べて、スタバで一息。
「実は次に行くことを考えています。」と切り出しました。当然に理由を聞かれたので、自身のセクシュアリティの話をした後に「あと数十年働くにあたって、今関心がある領域で、より事業に共感を持ちながら働いていきたい」という話を伝えました。

そしたら
「ゲイだったんだ?でも、そんなことより辞めちゃう方がショックだけど。。。」
とのこと。

この上なくありがたいお言葉だけど、そんなことより、って。。。
一応めちゃくちゃ緊張したんですけど。笑

そのあと会社や仕事の話やセクシュアリティの話をして最後に「辞めるのは残念だけど、まぁ仕事は自己実現だからねぇ。」って一言。
惜しまれながらも納得してもらい、そんなありがたい激励までいただきました。

そうか、自己実現か。
さすが社長、いいこと言いうよね。(上から)
なんだかいろいろな思いが収束した時間でした。

自己実現。
ある辞書を調べてみると、
「自己が本来持っている真の絶対的な自我を完全に実現すること。普遍的、絶対的な自我の実現が究極の目的であり、それに導く行為が正しい行為だとする。」

これは決して利己的な自己の実現だけを言っているのではなくて、世の中に対する疑問、感情、感謝や思いやりから生まれる、自身が社会に対してどのように影響していきたいか、どのように振る舞いたいかという思いの実現を意味していると理解しています。

そしてカミングアウトも自己実現のための行為のひとつなんだと気がつきました。
さすがに彼がそこまで見越して言ったとは思えないけど、すごく腹落ちする言葉をいただきました。

自分の話をするのであれば、セクシュアルマイノリティであることはアイデンティティそのものではないけど、もはや自分の生き方や人格を構成する重要な要素です。これを偽りながら生きることはとても心地が悪いものです。

ゲイコミュニティはそうでない人達の人間関係にくらべると、わりと容易でフラットにいろいろな属性や職業の人たちと出会う機会が多くあります。多くの人が積極的に出会い、交流します。その中で思いがけない考え方や体験を得ることもあります。

またゲイってことは基本的には結婚も子供を持つことを想定しないので、いちばん典型的な幸せとされている生き方は(その真偽はさておき)選択肢にはありません。
なので僕は生き方や死に方についてはよく考えます。
なかなか答えはでないけどわりとよく考えます。

その過程で受けた影響は大きくて、それがあって自分のある部分が形成されたことは否定できません。

一方で、家族や友人、同僚にはことあるごとに「なんで彼女作らないの?」とか「結婚しないの?」とか言われます。
同僚には余計なツッコミをされたくないから、こちらからも深入りしないことが多くあります。でもこれじゃ心の歩み寄りができる訳はありません。
淡々と仕事をするだけなら不都合はないけど、仕事や環境に愛着が薄くなります。
ライフワークと出会ったときにそれではあまりにつまらない。
最近ではGoogleの例で従業員の心理的安全性と仕事のパフォーマンスは相関関係があるなんてことも話題になっているみたいですね。

そんな思いもあって、40歳も間近にして後ろめたくもないものを隠し続けるのは、少々生きづらく感じてきました。それが最近、大切な人にカミングアウトを始めた理由です。
それは自己実現に向けた行動のひとつなんだと思います。

セクシュアルマイノリティにとってまだまだ世間は偏見があって、そういうコミュニティの中でだけやっと自分らしく振るまえている友達や、そのコミュニティさえ属することなく、自分が何者なのか、なんとなくぼんやりしてたり、諦めてるような感じを受ける友達を見かけます。

でも本当はそんな垣根なく、多様な特性に寛容であり、それぞれがありのままに振る舞えるような世の中になればいいと、改めて思うのでした。

ところで社長にカミングアウトした時、少し驚かせてしまうかと心配していたのですが、
返す刀で「それでパートナーいるの?」って聞かれました。(いません)

さすが社長。冴えてます。
勝ち負けで言えば負け戦でした。

–WriterProfile—————————————-
ゆうじ
1978年生まれ 男性
セクシュアリティ:ゲイ

バブリングではコミュニケーション事業としてバーを取り仕切るほか、ファンドレイジング、経理を担当している。生業は会社の会計財務を担っていて、4月から転職の予定。

本文では結婚も出産もないことを前提にしているけど、最近、里親さんと話す機会があって、同性と結婚して子を持つという生き方も、皆が幸せになる選択肢になるんじゃないかと思い始めだした。
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