to 兄・職場の人々

to 兄・職場の人々

2016年8月21日

カミングアウトストーリー

ゆうたtitle

今回はバブルバーのボランティアスタッフ・ゆうたにインタビューさせてもらいました

去年お兄ちゃんにカミングアウトをしたって言っていたけど、今日はそのことを聞かせてもらおうかな。その日は最初からカミングアウトをしようとしていた?

全くしようと思ってなかった。去年(2015年)の3月ぐらいに、転職の報告と手続き上のお願いでご飯を食べた時に。話の流れでカミングアウトをしたけど、カミングアウトが目的じゃないよ。

 

じゃあ完全に話の流れでカミングアウトをしたんだ。例えば結婚の話になったとか?

全然。話をしたのは、教育論とかそういう話の中でかな。兄貴は長男で子供が3人いて。彼は子供の育て方について、その時持論を話していたんだけど、その会話の返しで、自分はゲイだから多分子供は持たないんだけど、っていう話の前提みたいな感じでさらっと。

 

その時のお兄ちゃんの反応は?

あそうなんだ、みたいな。それだけ。

 

特に驚かれるでも、知ってたよ、でもなく?そのあとも教育の話が続いて、特にセクシュアリティの話にはならなかった?

ならなかったねー。それっきり。特に掘り下げられることもなかった。でも薄々感づいてたのかもね。仕事柄、古い考え方の人ではないし、「会社にいるどこどこのマネージャーの人もそうだよ」みたいなことも言ってた気がする。カミングアウトしたことについて、その後スタンスをはっきり聞けたわけじゃないけど、そのあとも兄弟関係に変化はないし、受け入れてくれたんでしょう。

 

今のところ家族でカミングアウトしたのは一番上のお兄ちゃんだけ?

だけだね。長男は働き方、生き方の価値観が自分と近いし、長男とは良い関係を築いておくことが自分的にもいいと思うから。住んでるとこも近いし。

両親へは話す理由が今のところないかな。人生設計を話す機会があれば話すと思うけど、今の所そういう感じじゃないから。親へのカミングアウトは今のところモチベーションがないというか、絶対したくないっていうんじゃなくて、このままいったら一生しないかもって思ってる。

 

そのお兄ちゃんについては、一人ぐらい味方がいてくれた方がいいという感じ?

別に、そういうわけではないよ。

ただ、社会人になって独立して生きてきたけど、今後老いたら親戚とか縁者が大事だなとか、引っ越しの時とかも家族が必要だってわかって。打算的な意味もあって長男にはこっちからアプローチをかけてて、仲良くしてたのはある。その「閾値」を超えたからカミングアウトしたのかも。本人の考え方も先進的な人だから。

 

最近は会社の人にもカミングアウトしたりしているよね。

今は会社では“フルカミングアウト”だよ。プロジェクトの一番偉い人に言ったからもう多分知れ渡ってる。もうね、(偉い人が)言いふらしてる(笑)

でも別にこの会社では隠す気なかったから(笑)

 

すごい(笑)。そこまでオープンにするのはなかなか難しいと思うけど、前からそんなにオープンな考え方だったっけ?

大学生の時は「クローゼット(自身の性的指向や性自認を公表していない状態)」で、カミングアウトを始めたのは社会人になってから。社会人になって、大学時代に一番仲が良かった女の子にカミングアウトしたのが最初かな。

そこから、初めは個人的に信頼できる人たちにして、次が住んでたシェアハウスで。そこで、対個人じゃなくて、コミュニティに対してカミングアウトをするっていうことをして。

 

カミングアウトをしてこじれたら出て行けばいいし、っていう割り切りがあった?

実際にそこまで割り切っていたわけじゃないけど、何となく大丈夫かなって。「同性愛者だ、殺せ!」って襲いかかってくる人がいなければ大丈夫じゃない?(笑)

 

今回の転職は、実績を買われてというのがカミングアウトしやすい要因だった?

会社に入った時の立ち位置が、割と強く出られる立場だったから。人間関係の基盤とか、仕事上の実績のような社会的基盤とか、何か自分の軸がはっきりしている方がカミングアウトしやすいと感じた。

「ゲイ」という個性しか持っていないっていう人はいないじゃない?きちんと一個の個人として語るべき特色があっての、もう一つの側面としてセクシュアリティがある。

だから、武器としての個性や基盤を持って、キーワードとしてのセクシュアリティを薄めていけばいいんじゃないかな。そこが何もない中で、ゲイですってカミングアウトしても、相手の印象には「ゲイ」しか残らなくなって、悪目立ちしやすくなるんだと思う。

 

最後に今カミングアウトを考えている人に向けてアドバイスを。

アドバイスできるほど、一般化できる話じゃないと思ってるので、自分のスタンスを言わせてもらうね。

カミングアウトは絶対にしなきゃいけないものではなくて。自分が振舞いたいように振舞う、延長線にあるものだと思ってる。セクシュアリティをオープンにすることが、人間関係を作る上や仕事上で、楽になると感じるなら、カミングアウトすれば良いと思う。

とは言っても勇気のいることなので、築いてきた人間関係や実績を武器にして自分に自信を持って、相手も受け止めてくれそうな空気を感じたら、カミングアウトしたらいいと思います。

関連記事

Topics


カミングアウトストーリー

ゲイ ‐ きみが教えてくれたこと [後編]
ゲイ ‐ きみが教えてくれたこと [後編]
ゲイであることを両親へカミングアウトをしたバブリング代表の網谷。 その場には親友...

2017年6月9日

コラム

他人事ではなく、自分ごと -専修大学教職課程講義-
他人事ではなく、自分ごと -専修大学教職課程講義-
4月下旬、専修大学の教職課程の1コマをお借りして、29名の学生に、ワークショップを実...

2017年5月30日

カミングアウトストーリー

ゲイ ‐ きみが教えてくれたこと [前編]
ゲイ ‐ きみが教えてくれたこと [前編]
『今回はバブリング代表の網谷と、ご友人である富澤さんの対談インタビューです。 ゲ...

2017年5月29日

コラム

ゲイカップル里親ニュースに触れて
ゲイカップル里親ニュースに触れて
今回のニュースは、セクシュアル・マイノリティにとって明るい話題でもありつつ、この...

2017年4月24日

カミングアウトストーリー

不育症 -「第Ⅻ因子欠乏症」って?
不育症 -「第Ⅻ因子欠乏症」って?
  【不育症】 (ふいくしょう) 妊娠はするが、流産、死産や新生児死亡などを繰り...

2017年3月27日

コラム

そだちとすだち
そだちとすだち
社会的養護の業界では、法整備や諸制度、支援活動のデザインに、当事者が参画すること...

2017年2月7日

back to top