生徒と、カミングアウト

生徒と、カミングアウト

2016年7月5日

コラム

こんにちは、2回目の登場、まつろーです。

年度が変わって(バブリングの年度は1月から12月で1年)、コミュニケーション事業部から普及啓発事業部に異動となりました。
単純に何が変わったかと言うと、バブルバーなどの担当からカミングアウトストーリーなどの担当になったワケです。

それはさておき今回は「生徒のカミングアウト」について、お話しをします。

1回目にコラムを書いた時、生徒からのカミングアウトがあった話に触れました。
その生徒は選抜クラスにいて、身長が高く細身でペラペラよく喋るタイプです。授業は日本史だったのですが、江戸時代に突入し3代将軍徳川家光の話をしていました。

「家光は幼少の頃、男の子にしか興味がなく、困った乳母(育ての母)の春日局はボーイッシュな女の子を家光のそばに置き、女の子に興味を持つよう誘導したそうだ」

実は教員になった頃からライフワークの1つに、授業を担当する全クラスで1年に1回は必ず「セクシュアルマイノリティ」の話をすることにしています。
話すタイミングは社会的な差別からの切り口だったり、生徒が見るテレビ番組の延長線であったりしますが、とにかく世の中には多種多様な人間がいて、その中に「同性を好きになる人たちがいる」と認識して欲しくて始めたのがきっかけでした。

話は日本史の授業に戻ります。
家光の話をした後に、その生徒は口を開きました。

「先生、自分はゲイなんですけど」

その時は一瞬止まりましたが、周りの生徒の様子は良く言えばにこやか、
悪く言えばニヤニヤしているようにも見えたので、そこでは一回だけ確認をして授業の内容に戻りました。
それは本気なのか、冗談なのか区別するのが難しかったからです。

そして授業が終わり、その生徒に一声かけ廊下で話をしました。
私「さっきの話は本当なの?」
生徒「本当です」
私「でも周りがニヤニヤしているようにも見えたから、本気か冗談か分からなかったんだよね」
生徒「それは周りの生徒が皆、知っているからなんですよ」
私「そうなんだ!?それは凄いね。もう教員を10年少しやっているけれど、授業中にカミングアウトされたの初めてだったから」
生徒「そうだったんですね。笑」

という流れで事後確認をしました。
その後に、どういう流れで同じクラスの生徒にカミングアウトしたのか、どれくらいの生徒が知っているのかなど、もう少し話を掘り下げて聞きました。

当然ながら、この生徒とは関係性が以前より更に良くなったし、本人や周りもセクシュアリティに関係ない下ネタなどを振ってくるようになります。笑

肝心の私が勘付いていたかどうかですが、正確に言うのであれば可能性は半々でした。
その生徒が周りと話をする時の手や体の動きが滑らか過ぎるとか、周囲からいじられた後のリアクションが妙に面白いとは感じていました。
ただ中性的な生徒というだけの可能性もあったので、確信めいたものはなかったのです。

そして実は、その生徒この3月に卒業して最近になって連絡を取り、
カミングアウトストーリーのインタビューをお願いしたのです。

この詳細が気になる人は、是非カミングアウトストーリーを読んでください。笑

声の高さが特徴的な、まつろーでした。

 

過去のカミングアウトストーリーはこちら>>

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