強く寛容な社会と、心理的安定性 -立教大学中村自主ゼミ企画-
2017年1月26日
コラム
NPO法人バブリング ,まつろー ,俊介 ,網谷 勇気
「ある日、突然自分の知らなかったセカイが広がって、それに戸惑いながらも興味が湧き出て止まらなくなる」
バブリングのwebサイトを見て、そんな感想を送ってくれた方が、立教大学の中村教授が開いている自主ゼミと繋いでくださり、お話しする機会をいただきました。題して『「強く寛容な社会とは?」社会的マイノリティの視点から』。
中村先生の、社会を『良くする』から社会を『変える』というありがたいお話しから始まり、その後に今回の自主ゼミとバブリングを強い気持ちで繋げてくれた川副奈緒美さんが参加者に向けて少し話をしてくれました。
「マイノリティのセカイだから起きること。それは『知らない』で起きる、勝手な想像、色眼鏡。そこから広がる、さらなる溝。『知る』、これが全てのスタートだと感じています。私は『知った』ことで、メガネを外すことができました。ぜひ今日は、それを体験していってください」
こんな素敵な話から、バブリングメンバーより団体のVISIONとMISSIONのご案内を踏まえて、いよいよ『なりきりワーク』へと進みます。…と、その前に。今回は立教大学での自主ゼミだったので、参加者は大学生・元大学院生・社会人・NPO・元議員など多種多様でした。実は告知を普段とは異なる切り口でしています。
それは『心理的安定性』でした。Googleが2012年に行った生産性向上計画『アリストテレス・プロジェクト』によれば、チーム内の高い生産性は『心理的安定性』が重要で、そのためには『仕事用の自分』を演じずに『本来の自分』でいられることが大切とのことです。
仕事をするチーム内で、本来の自分をさらけ出すことは容易ではありません。しかし、それをチームとして受け入れる心遣いや理解力を育むことによって、『心理的安定性』が築かれていきます。本来の自分をさらけ出してもいい環境であれば、『仕事用の自分』を演じる必要はありません。『ありのまま』に本来の自分で仕事をすること、それが生産性を高める唯一の方法なのです。
この告知で「なるほど、これは気になる」と感じた方。ぜひ『なりきりワーク』おすすめです。笑
今回の自主ゼミでは、別のイベントレポート『第1回・第2回セカイはマイノリティでできている』でも紹介していますが、程良くシンプルな形にした『なりきりワーク』を行いました。様々なマイノリティの方々になりきって、その抱く葛藤や想いを疑似体験していただいたことで、当事者の気持ちと、マイノリティ要素を打ち明けられた非当事者の気持ちを想像する時間を共有できたかと思います。
「これからの日本は、今よりも多様性を受け入れる社会になっていく…と思いきや、それは都市部に特化した話であって、いわゆる『ムラ社会』と呼ばれる地方では、まだまだ難しい。ただムラ社会を否定するのではなく、そこに合った活動をしていけば浸透するから是非地方での活動をしてほしい」
「別に人と違うことは特別なことではないし、わざわざ外に言って空気を悪くするのであれば言わない方が良いし、言う意味がないとさえ思ってしまう」
「今回参加してみて、初めて色々なマイノリティの人たちがいる事を知ったし、どんな気持ちで生きているのかも知ることができた」
このような意見や感想をいただくことができました。他にも参加者分の意見や感想が出ましたが、それはまた別の機会にバブリングメンバーから聞いてみてください。ただ自分が凄く印象に残ったのは、あるバブリングメンバーが「どうすれば社会にもっと多様性が認知されると思いますか?」と聞いたところ、「もっと知る場を増やす」「発言する当事者に耳を傾けること」という意見が返ってきたことです。それを聞いて自分たちが今やっている方向性が間違っていない嬉しさと、まだまだバブリングとしての知る場の提供や、当事者へ耳を傾けることの自分自身の足りなさを感じました。
これからもバブリングとして、自分自身のことを発言したい当事者の背中を押し、そういう当事者がいるという事実を知る場所を増やしていきたいと気持ちを新たにしていますので、これを見ている方の協力も得ながらより前を向いて進んでいきます。
–WriterProfile—————————————-
NPO法人バブリング理事 まつろー
1980年生まれ 男性
セクシュアリティ:ヘテロセクシュアル
高校の公民科教員として、日々多感な高校生たちと関わりながら
プライベートでは妻と二人三脚で4歳息子の育児に奮闘中。
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