ギフテッド – ポジティブ思考で生きる [前編]

ギフテッド – ポジティブ思考で生きる [前編]

2018年9月9日

カミングアウトストーリー

山本昌寛さんtitle
今回は心理戦略コンサルタントおよびメンタリストであり、上位2%の知能指数(IQ)を持つ人たちのグループJAPAN MENSA会員でもある山本昌寛(マサヒロ)さんにお話をお聞きしました。

マサヒロさんが、ご自身の特性に気づかれたのはいつでしょうか。

4年前です。僕はメンタリズムという心理学とマジックを融合したエンターテイメントショーを行っているんですが、超能力を研究している学者さんたちから目の前で見せて欲しいと依頼があって、お見せしたんですね。

すると、そこにMENSAの会員がいて「君は面白いね、多分入れますよ」とお誘いいただいたんです。最初はMENSAがどういうものかわからなかったんですが、そのあと何回かMENSA会員に会わせてもらって面白そうだったので、試験を受けてみたら入会できた。それで「あぁ僕IQ高いんだ」って思ったんです。

初めに会われたMENSAの方は、何故マサヒロさんが会員になれるとわかったのでしょうか。

誰かと話していると「あぁ、この人IQ高そうだな」っていうのを、なんとなく感じるんです。相手も僕に対して、それを感じたのかもしれません。言葉にするのは難しいんですが、発想が変わってるなとか、斬新だな、視点が違うな、ということに対してIQが高いと感じるのかもしれません。

4年前にMENSAへ入会する前に、ご自身でIQが高いと感じたことはありますか?

特になかったんですよね、学校の成績は普通ぐらいでしたし。そもそも学力とIQは相関がある訳ではないと思うんですけど。

『ギフテッド』と呼ばれる人たちは、知的好奇心が旺盛であるとか、とても論理的であるといった、いくつかの特徴があるとされていますが、ご自分でそのように感じることはあるのでしょうか。

あるものに対して強い興味を持つ、ということは僕自身もあります。興味を持ったものにはすごい執着心があって、例えばペンは必ず青いものを使っています。青色に『冷静に思考ができる』という色彩効果があるためです。

他には、ある栄養価を取るのに、サプリメントがいいのか、グリーンスムージーがいいのか、青汁がいいのか、色々と選択肢があると思うんですが、製造過程や様々な論文などをチェックして選んでいます。自分自身の興味や関心があることには、バックデータなどの裏取りをかなりしますね。

何事も納得するまで知りたい、ということですか?

そうですね。少ない情報で何かをする、ということがあまり好きではないんです。それと時間対効果が低いことはしたくないんですね。例えばサプリメントを半年間摂って効き目がなかったとなると時間は戻らないので、その半年間が無駄になってしまうし、もったいないなって思ってしまいますね。

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すごく合理性を求めている、ということですね。

スーパー合理主義のサイコパスに近いかもしれません。こういうインタビューの時も僕は時間対効果を求めるから、事前に思考するんですよ、何を話そうかなって。そういうもの(合理性や時間対効果)に対して固執心はあるのかなって思いますね。

(インタビューのためにまとめていただいた紙を拝見する)

私は合理的なものの対極は『感情』じゃないかと思っているのですが、物事を合理的に進めていこうとした際、自分や相手の感情が邪魔をして、軋轢を生むことはないですか?

それはあると思います。僕は他者との議論の中で具体性とロジックを求めるんですが、それはお互いすごく頭を使うし、面倒臭いじゃないですか。だから、その過程で相手とぶつかることは多いです。

その場合は、どう対処されるんですか?

問題が生じたときには、所与の条件と言われる『自分が何もできない要素』と『自分が影響を与えられる要素』があると考えています。相手を変えようというのは不可能でも、自分を変えるのは簡単だと思うんです。議論が合わなくて対立したとして、でもそれは自分の伝え方が悪かったのではないかとか、自分は相手を理解したのかとか、自分が変えられる要素ってすごくあると思うんですよ。そういうのは成長のチャンスだと捉えていて、だから「イラっとする」で終わらせるんじゃなくて、そこからどう問題を解決できるかを考えます。

仮に何か問題が起こったとしても、どう解決するかを考えるんですね。

先日もクライアントとぶつかってしまったので「なんで僕は怒ったんだっけ」ということをメモ帳に書いて考えたんですよ。自分の思考を深掘りしていって「なんでイライラしたんだっけ」という原因と、どうしたら解決するかを書いたんです。

どのように解決されたのですか?

その時はアンガーマネジメント、怒りをどうコントロールするかについて学ぶ必要があるな、という結論にたどり着きました。その前まで僕はアンガーマネジメントという言葉を知らなかったのですが、問題解決の方法を考えることで、新しい知識に出会ったりするんですよ。それが面白いなって。だから解決できない問題はあるんですけど、新しい成長のチャンスでもあると思っていて。僕自身は問題解決がすごく好きなので、そんな風に考えることが多いですね。

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とても前向きで、プラス思考ですね。

それはあると思います(笑)、ポジティブ思考。ネガティブ思考になったところで仕方ないので。でも僕も落ち込むことがあるんですよ。月一とかで突然ネガティブな感情に落ちる時があって、そうすると僕は部屋に引きこもって一日中Netflixを見続けるんです。

落ち込むときは、どのようなことが原因なのですか?

原因はたくさんありますが、今すぐ解決できない問題にぶつかっている場合が多いですね。理想と現実のギャップとか、人間関係って難しいなとか、僕は友だちが少ないなーとか、お金がないとか(笑)。

合理主義とも関係あるかもしれませんが、ギフテッドの人は周囲と話が合わず浮いてしまうことがあると聞きます。

MENSAの人に聞くと、コミュニケーションを取りづらいということが生きづらさとしてあるようです。例えばMENSAのメンバーは自分が話したいことがたくさんあるんですよ。加えて、考えながら話をしてしまうから、相手の表情を見ていないことが多い。そうするとコミュニケーションというよりは一方通行な発信になってしまうんですが、それは一般的に求められているコミュニケーションとは違うんですよね。それがMENSAのメンバー同士だと気持ちいいんですよ。新しい視点があったり、その考え方は面白いとか思えたりする。

マサヒロさんご自身は、人とのコミュニケーションは得意ですか?

僕自身は職業がコンサルタントなので、クライアントの話を聞くことは必要なんです。だから仕事中はちゃんとやってる感じですね。ただ、僕は自分の中で推測して話してしまうことが多いんです。それはあくまで推論であって事実かどうかわからないので、本当は危険なんですね。ファクトベースで話をしたいんですが、頭の中で色々と考えてしまって、事実とは離れてしまった結論とか、妄想をベースにしてしまうことがある。それはしないように、かなり気を遣っています。

仕事中は、ということはプライベートだと気にしないのですか?

全然気にしないです(笑)。お互いMENSA会員で、僕のことをわかってくれていればバーっと話しますし、友だちからの相談に対して思ったことをズバッと言ってしまって、あとで「あの発言は傷ついたよ」と言われて反省することもあります(笑)。

インタビュアーもスーパー合理主義だったり、業務以外のコミュニケーションが得意ではなくて自己嫌悪することもあるのですが、マサヒロさんが自分らしく論理を展開されたり、未来志向で考えられていることに目から鱗が落ちる思いでした。後編では心理戦略コンサルタントとして、カミングアウトについてお話を伺います。

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