ゲイ – 互いにプラスな関係へ

ゲイ – 互いにプラスな関係へ

2017年9月10日

カミングアウトストーリー

アキラケンジtitle

『40歳でゲイのアキラさんと、30代前半ストレートのケンジさんに、出会いから今までを伺った対談インタビュー。カミングアウトをするまでにお互いをどのように捉えていたのか、カミングアウトされたあとに変化したことはあるのか、カミングアウト前後にも焦点を当てて色々お話いただきました!』

まずは、お二人が友だちになったきっかけから教えてください。

ケ:21歳のとき、だから10年前ですかね。大学と並行して夜間のデザイン専門学校に入りまして。そこに30歳超えが数人いて。年上の人って優しいじゃないですか、特に30歳超えてくると大人の余裕みたいなのもあって面倒見てくれるような、そういう人たちの中に、アキラさんがいた。割とよく飲みに行くメンバーだったんですよね。

ア:その専門学校へ受験する前のガイダンスにケンジがいて、大学生みたいなかわいい子がいるなと思ってて。だから入学後に彼を見て「あ、あのときの子だ」と思ったけど、自分は初め年齢の近い人たちと一緒にいて、でも話していくうちに、波長が合ったというか、一緒にいて楽だったからつ
るみ始めたかな。

ケ:初めから毛嫌いしない、変わっている人でも割と誰とでも話せる、みたいな部分はお互いにありますよね。

その後、アキラくんがケンジくんへカミングアウトしたのは、どれくらい経ってからなのでしょうか。

ア:専門卒業して1年くらいは、お互い働き始めたばかりで忙しかったんだけど、その翌年にグループ展をやろうという話からまた会うようになって。ケンジの前に、専門の友だち何人かにはカミングアウトしてたから、仲間内ではケンジが5番目くらいかな。

カミングアウトするまで、ケンジくんに対してどのような印象を持たれていましたか。

ア:話したことをいきなり否定するタイプではない、ということは分かっていたし、好奇心があってよく観察もしているから鋭いことも言ってくれる。「なにを言っても大丈夫なんだろうな」という印象だったと思う。なんか一般的に「学校が終わってもこのまま付き合っていきたい」っていう感情ってあるじゃない?それぞれ別の仕事や環境の中で暮らしていると話題が破綻する可能性もある中で、でも関係を続けたいと思ったから伝えたくなったんじゃないかな。

逆に、カミングアウトされるまでの、アキラくんへの印象はどのようなものでしたか。

ケ:ムラっけのある人。だいたいの人は気づかずにスルーしちゃうけど、アキラさんの制作物を見るとすぐに、波があることは分かる。自分を保つということに対しては揺れている人なのではないかと思う一方で、他人に対してはすごいフラット。

では、どういう場面でアキラくんからカミングアウトされましたか。

ケ:新宿の居酒屋で。信頼してくれているから言ってくれたのかなと初めは思ってて。居酒屋のあと代々木公園まで歩いて、そこのベンチで話していたときに恋愛感情を感じたというか、僕の記憶では告白されたことになっています。

ア:思い詰めてのガチ告白じゃないけど「ケンジのことイケるし好きだよ」とは言った。

ケ:僕の回答は憶えていて「友だちとして尊敬して好きだけど、興味はありますが、恋愛感情として女性が好きです」って言った。でも『興味はある』発言をしたために、その後よく誘われました(笑)。

アキラ&ケンジ①

ケンジくんから見て、アキラくんはカミングアウトのような、大事な話をしてくるタイプだと思っていましたか?

ケ:7割くらいは思っていなかったですね。僕は色々とオープンにしてネタにするタイプなんですけど、アキラさんは秘密があるだろうなと思っていた。でも詮索して楽しくなるタイプの人でもないと思っていたから、驚きましたよね。言ってくれたってことは大切にしてもらっているんだな、っていう。自分が思っている以上に信頼してくれている比重が重いんだなって。

アキラくんはカミングアウトの場面を憶えていますか?

ア:セリフは憶えていないかな。「ゲイなんだよね」って言ったかもしれない。その日に言おうとは思っていたし、ケンジから「気持ち悪いから友だちやめます」って言われるとも思っていなかったけど、緊張していたこともあり居酒屋での記憶はあまり。代々木公園の記憶はあるけど。

代々木公園へ移動したのは?

ア:カミングアウトした後にすぐ別れるのは不安があって、新宿から原宿まで歩きながら話していたんだよね。代々木公園では告白めいたことも話したけど、落胆したわけでもなく、カミングアウト自体は受け止めてもらえたのもあって、寒くなってきたしその後はそのまま帰ったかな。

ケ:男の人を好きになってもいいでしょ、という感覚って全く分からないわけではないというか、小学校のとき僕も「かっこいいな」と思ったことあるし、もしかしたら幼少期に何かあったら男と付き合っていたかもしれないし。あと同人誌が流行ったときにBLを知ってたのもあって、アキラさんすらっとして王子様系だし、うわーっという驚きはなかった。ある意味しっくりきました。カミングアウトされた後に、それまで聞いた話を思い返して合点がいったのもあります。

アキラ&ケンジ②

その後、アキラくんはゲイの友人をケンジくんに紹介したと聞きましたが、それはどういう考えからなのですか?

ア:ケンジは物事に対してフラットな好奇心のある人だから、自分がカミングアウトすることでケンジも面白がってくれるかもと思っていた面もあって、さらにそれで人間関係が深まるならそれもいいかなという気持ちもあったんだよね。ある日、専門の友だち数名で集まっているときにゲイの友だちの話をして。どんな文脈かは憶えていないけど、そのゲイの友だちの話はケンジたちに響きそうだったし、そこを混ぜることでどっちにとっても面白くなると思ったの。自分は、世の中のバランスを良くするということをよく考えているんだけど、友だちが混ざることってそれだけで面白いと思ってもいるんだよね。

紹介されたケンジくんは、どう感じたのでしょうか。

ケ:初めは「面白い人がいる」って会わせてもらったんだけど、セクシュアル・マイノリティの人はその要素だけで繋がれる、そういうネットワークに興味があって。何より「自分は特殊なんじゃないか」とか「自分が人より変わっている」とか感じている人の方が強いんじゃないか、もしくは自分の生き方をよく考えているんじゃないかと思ってるんです。で、やっぱり、話してて楽しいなとか、新たな発見があったな、とかを思いましたね。

ア:ある意味、しめしめと思ってる。ケンジにも喜んでもらえたし、そのゲイの友だちにとっても良かったし。

ケ:繋げてくれたことはプラスしかない。ゲイの友だちがいることを、周りの友だちにも普通に話したりするし、「何か問題でも?」という感じになっている。

今回、インタビューに誘われたことについてはどう感じていますか?

ケ:以前、アキラさんへ仕事をお願いしたことがあって、でもほぼタダでやってもらったのに、事後報告とかしなかったんですよ。そのとき「報告ないんじゃない?」って言われて。で、少し前に今度は有料で仕事を頼んだんですけど入金遅延したんですよ。マジでダメだなって思って。で、アキラさんに電話で怒られて、絶縁だと思って落ち込んでいたんですけど、その後に、このインタビューに誘ってもらえて、嬉しかったです。

アキラ&ケンジ③

最後に、友だちへカミングアウトしようかなと思っている人へ一言お願いします。

ア:カミングアウトは強要されてするものではないから、してもしなくてもいいと思ってる。でも敢えて個人の思いで言うのであれば、カミングアウトをして受け入れてくれる、っていうと大袈裟になっちゃうけど、少なくとも相手が今まで通り接してくれる人なのであれば、その後はお互いの信頼関係が増すということを経験則として持っているので、カミングアウトしたい人は、してもいいと思う。カミングアウトいいよね、って思う。

ではケンジくんには、友だちからカミングアウトされてこれからどうしようと思っている人へ一言お願いします。

ケ:カミングアウトの種類もいっぱいあるし、されて困ることも色々あると思うんですけど、カミングアウトされて自分が嫌だなって思っているんだったら、ちゃんと言った方がいい。その後、その人と付き合っていきたくないんだったら、そう言った方がいい。モヤモヤを抱えたまま表面上で付き合うのが一番良くない。関係を切るか、受け入れるか、ハッキリさせた方がお互いのためだと思います。ただし、カミングアウトした側に対してはリスペクトするべき。関係を切るとしても、リスペクトしてから切るべき。愛の告白も同じだと思う。断りたいのにズルズル断らないのは失礼だし、ダメならダメって言うべきだし、でも言ってくれたことに対して「ありがとう」はまず言うべきだと思います。

『明るく率直にお話されるケンジさんと、じっくり丁寧に言葉を紡ぐアキラさんは、一見すると対照的ですが、お互いの関係や今の状況を面白がっていることや、それぞれを尊重している点は共通しているようです。曖昧にせずきちんと言葉で伝えあってきたことが、今までのお二人をつくってきたのだろうし、これからも長く続いていくための大事な要素なのだと感じました』

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