リービングケア委員会 パネルディスカッション
2015年11月28日
コラム
先日、東京都社会福祉協議会児童部会リービングケア委員会にて、NPO法人ピルコン代表の染谷さん、株式会社LITALICOの石田さん・宮田さんとともに、「『性』の多様性を考える 〜LGBTの基本理解〜」と題したパネルディスカッションを行ってきました。
バブリングwebではお伝えしていませんでしたが、僕は現在、NPO法人ブリッジフォースマイルの職員として、児童養護施設等で暮らす子どもたちの自立に関わっています。
リービングケア委員会は、児童養護施設や自立援助ホームの職員さん、支援団体が集まって、毎月様々なテーマで開催されており、今回僕は、「ブリッジフォースマイルにいるゲイの職員」という立場で登壇し、バブリングの話もしてきました。
1年半以上、ブリッジフォースマイルで仕事をしてきて、気になっていたことの一つに、施設内での性教育があります。
色々な施設の子どもたちと関わらせていただく中で、LGBT当事者と思われる子はもちろん何人かいて、「この子たちにはどの程度の情報が届いているのだろうか」と考えていました。
LGBT当事者であった場合、彼らはダブルマイノリティと言える状況になり、カミングアウトも2種類になります。そのようなことを考えていくうちに、職員さんたちに伝えたいことが色々と思い浮かぶようになりました。
僕の持ち時間は20分、基本的な構成はライフストーリー。
そこにどれだけ伝えたいことを絡めていけるか、というようなことを考えていたら緊張してしまいました(笑)。
そこで、緊張を解くために想像したのは、これまで出会ってきた施設の子どもたちの顔です。「目の前にいる職員さんの、その先にいる子どもたちのために喋るんだ」と言い聞かせていたら、少しずつ落ち着いてきました。
余談ですが、意識が自分に向いていれば緊張するけれども、他者に向けられると解けるものなのかもしれないですね。
もう一つ緊張の要因はあって、その日その場にいた職員さんたちと僕の関係は、幾つかの濃度に分けられる状況でした。
既にカミングアウトして(一緒にお酒を飲んで)いる方、カミングアウトしてはいないけれども頻繁に仕事の話をさせていただいている方、ご挨拶程度はしている方、ご挨拶もまだできていない方、などなど。
その、どの関係に置いても、できるだけ届く言葉で、できるだけ届くような感情の乗せ方で話したいと考えていたら、複数パターンの受け手の立場を想像するようになってしまい、委員会後の懇親会では放心状態でした。
マイクを持って話している間、いつもよくしてくださる職員さんや、飲み会での僕の下世話な話に笑ってくださる職員さんが笑顔で聞いてくださっていて、その様子を見ながら、僕はいつでもこうして、カミングアウトした人たちに支えられながら人前に出ているなと、改めて感じました。
僕が僕のストーリーを語らせてもらえるのは、僕を受け入れている人たちがいるからで、それは僕がゲイだから受け入れてくれたわけではなく、僕という個人を受け入れてくれているからで、そのおかげで伝えたいことを伝えられるという有り難みが、とても沁みる日でした。沁みすぎて、家に帰ってから号泣していました(笑)。
僕らバブリングは、初期メンバーの約半分が異性愛者です。
僕らは異性愛者視点=マジョリティ視点をとても大切にしています。カミングアウトする人の感情が様々であれば、カミングアウトされる人の感情も様々です。
今回の感謝の気持ちをきっかけに、改めてどちらかが一方的にならず、共に生きていくための関わり方をこれからも模索していきたいと思います。
【この記事に掲載させて頂いた企業】
NPO法人ブリッジフォースマイル:http://www.b4s.jp
NPO法人ピルコン:http://pilcon.org
株式会社LITALICO:http://litalico.co.jp
–WriterProfile—————————————-
NPO法人バブリング代表 網谷勇気
1978年生まれ 男性
セクシュアリティ:ゲイ
NPO法人ブリッジフォースマイルの職員として
児童養護施設等で暮らす子どもたちの自立に関わりながら
2015年NPO法人バブリングを設立。
バブリングでは「大切な人へのカミングアウトを応援」をミッションに掲げて活動中
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