バブリングという分岐点
2015年11月8日
コラム
NPO法人バブリング ,カミングアウト ,ケント ,ケントン ,吉田 健留
自分が何かを綴るこのタイミングで、改めて皆のコラムを読み返してみると、皆の思いが伝わってきてなんだかとてもいい気持ちになれますね。
こんにちは、ケントです。
バブリングでは、web制作を担い、普及啓発事業部に属しています。
僕には今までに登場した皆の様な良い事が書ける自信が全くないのですが、活動をしていく中で感じたことを少し書いてみようと思います。
平々凡々と生きてきた僕が初めてマイノリティという言葉と共に、その存在を意識するようになったのは19歳の頃でした。
バブリングにも所属している友人ヨシル、彼が僕にとって初めて身の回りに現れたセクシュアルマイノリティです。彼は大学の同級生でしたが、それまで一度もゲイと呼ばれる人々と触れ合ったことのない僕にとっては、色んな意味で彼の存在が新鮮で、メディアで得た分かりやすいゲイに対するイメージが先行していたせいもあり、当時は正直偏見に近いものを彼に対して抱いていたと思います。
ですが、その後とても広い交友関係を持つ彼と仲良くなるにつれて、代表の網谷を含め、色々なセクシュアリティの人々に出会うことになります。
そして、意図せずとも、今まで狭い世界で生きてきた時には到底気づくことのできなかった、セクシュアリティの多様さを、僕は彼らから学んでいきました。
それから少し時が経ち、去年、網谷にNPOを立ち上げたいという話をされ、バブリングに参加し1年が経ちます。
ーバブリングに参加してからー
正直言えば、バブリングに参加したばかりの時は、あまり何かを変えたいという強い思いを持っていたわけではありませんでした。
世間において、僕は自分自身がマジョリティだとか、マイノリティだという感覚が良くわからなかったからです。
人生の中で嬉しいことや、辛いことがあるたびに、自分に関して深く考える事がありましたが、僕自身のアイデンティティがどちらに属するかということにあまり興味がなかったという事もあるかもしれません。
セクシュアリティに関しても同様で、自分とある程度深く向き合ってみると、長い長いセクシュアリティのグラデーションの中に僕もいるんだという事を実感できていたし、それを共有したいという思いもありませんでしたが、それと同時に他人を受け入れられないという事もありませんでした。
ですが、バブリングの活動を1年間してきた中で、セクシュアリティに限らず、それぞれの持つマイノリティな部分を人や社会に受け入れてもらえなかったという事を原因に、とても辛い体験をしていたり、大きな悩みを持っている人々に沢山出会いました。
それが家族や親友、恋人など大切な人が関係するエピソードであるほどとても心に強く残り、自己解決していただけの僕が、自分の出来る事で何か彼らの役に立てるならという思いも次第に強くなっていきました。
カミングアウトをテーマに人と話をする度、自然とバブリングメンバーも自分自身の中のカミングアウトと向き合うことになります。
本当は伝えたいけれど、まだ人には言えていないようなことは誰でも持っているだろうし、そういう意味であれば、誰もが当事者であるはずです。
大切なことは、自分が非当事者であるという意識をなるべく捨てて、自分の中にある人には言えないマイノリティの部分に重ね合わせてみること。
「相手の気持ちになって考えてみる」という、ごくごく基本的な事が、きっと一番大事な事なのかなと思っています。
どんなに勇気を持って行ったカミングアウトでも必ずしも良い結果を生むというわけではありせんし、色々考えた結果カミングアウトしないという選択肢も大いにあるべきです。
ですが、その決断を下すまでに、自分や、大切な人と向き合っていくという行為と時間は、その人の人生に何かしらプラスになる部分を絶対に残してくれるはずです。
大事なことは、カミングアウトするという行為よりも、それに向き合うという姿勢なのだということをこの1年で学んだように思います。
僕がバブリング内で担っているweb制作という役割は、本業とは全く関係ない事ということもあり、勉強しながら手探り状態で活動していく中でメンバーに迷惑をかけてしまっている事も沢山あると思います。
コーディング等手伝ってくれている友人には本当にお世話になりっぱなしだし、正直自分がバブリングの役に立てているのかもよくわかりません。
ですが、このwebサイトが、見てくれた人の何かの勇気になったり、気持ちを和らげてくれるようなきっかけになってくれたら、とてもとても嬉しいです。
バブリングに関わってくれている全てのみなさん、これからもよろしくお願いします。
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