私を救った小さな輪

2015年11月15日

コラム

奈穂 こんにちは、広報担当の奈穂です。
ヘテロセクシュアル(異性愛者)、女性、30代半ばです。

ずっとメンバーに書いてもらっていたコラムですが、
ついに私の書くターンが巡ってきてしまいました。

広報発信のコラムをスタートして2.5ヶ月、メンバーに記事を依頼し、上がってきた原稿をチェックして公開する作業を担当しているので、いつも最初に原稿を読ませてもらっていますが、言葉と言うのは本当にその人の姿を映すのだなと思います。
メンバーの記事を読みながら私は、「私にはこの記事を書く事が出来るのかな」と考えていました。

皆それぞれに自分自身と、メンバーと、個人的な誰かと、向き合いながら、躓いたり転んだりしつつも、この1年を過ごしてきたであろう事が、しっかり伝わる内容になっていて、その言葉に圧倒されながら、「この1年、私自身は自分と向き合う事が出来たのだろうか」と自問自答を繰り返しました。

約17年前、代表網谷と知り合った頃の私は、色々とおかしい人だったのですが、網谷と初めて話して、大好きになって、この17年間ずっと変わらない気持ちで一緒にいます。
ものすごく重い話しになるので詳細は割愛しますが(笑)

代表網谷が10年以上前に運営していた「バブル」というサイトを通じて集まった団体が現バブリングの前身となっています。
「バブル」と言うサイト自体は「場を提供する」と言った趣旨から始まっていたような淡い記憶ですが、そのサイトに集まった人達でオフ会を始めたのがそもそものきっかけとなり、「友達の友達と友達になる」をコンセプトに様々なイベントを開催していました。

イベントをするようになる前の、オフ会の「バブル」に参加し始めた頃の私は(今でも変わらない部分はありますが)、人見知りで潔癖で気難しくて、周りの人はみんな敵だと思っていました。

そんな私が、それでも「バブル」と関わり続けたのは、
自分の中にある色んなモノを隠さなくても良かった事、
私はここに居ても良いんだと思えた事が大きかったのだと思います。

―バブルからバブリングへ―
私は「バブル」の頃からメンバーとしてイベントのお手伝いもしていたので、自分から挙手しました。
正直言うと、挙手した時は別に何も考えてなかったです。(苦笑)

ただ、私の大切な友人達がもう少し幸せに生きる事が出来ると良いな、という漠然とした想いはいつもありました。
これまで支えてくれた、網谷を始めとする仲間たちに恩返しを…と言う気持ちも、もしかしたらあったかもしれない。

そんなふわっとした気持ちで参加を決めた頃、心を大きく揺さぶられる出来事がありました。

「男は男を、女は女を好きになるのが普通、男と女の関係なんて信じられない。地獄に落ちる。」
そんな逆転の世界を描いた19分のショートフィルム「Love Is All You Need?」に出会った事です。

私の周りには同性愛者も異性愛者もたくさんいますが、私には同性愛者も異性愛者も同じ人間です。長年、同性愛者の友人も多いおかげで、私にとっては同性愛も異性愛も普通の事です。

それなのに、このショートフィルムを見て、やっと気付きました。

私の友人達もこんな思いをしているのかもしれない。
友達の友達は、苦しんでいるかもしれない。
同性愛者であるが故に、命を落とす選択をする人が世界にはたくさんいる。
私はこれまでその現実に、向き合うどころか見向きもしてきませんでした。

同性愛者が迫害される現実を知らなかったわけではありません。
それでも、ニュースや映画で見る差別や偏見はどこか他人事で、今、私の生きる世界とは別なのだと意識のどこかで考えていたのです。

差別を引き起こしているのは私自身でした。

この世界が変わる為に、私に出来る事が何なのか、まだ答えは出ていません。
それでも、私を救ってくれた「バブル」という輪が、少しずつ大きくなろうとしてバブリングに変わったように、マイノリティと呼ばれる人達と、マイノリティの一人である私自身の小さな輪が少しずつでも大きくなっていけば、10年後、20年後、30年後…
もしかしたらもっと先になるかもしれないけれど、世界は変える事が出来ると思っています。

誰かのために、自分自身のために、バブリングのメンバーと、この記事を読んでくれているあなたと、手を取り合って世界を変えていきたいと思うのです。

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