四十八茶百鼠

四十八茶百鼠

2019年8月10日

メンバーコラム

こんにちは、ひろふみです。

印刷関係の仕事をしていると、印刷した時の色の『出方』が非常に重要で、お客さん(特にデザイナーさん)の要望通りの色味が出ているか、本番前に校正刷りなんていうものを出して、色を確認してもらうのが重要なステップになります。「この緑色の部分は少し黄色味すぎるね」とか、「この肌の部分はもっと血色がいい感じに赤味を強くして」とか、お客さんのOKがもらえるように調整をするわけです。
海外ではどうかわかりませんが、日本ではこうした色に対する繊細な感覚はずいぶん昔から培われてきたもののようで、江戸時代には『四十八茶百鼠』などと言って、茶色だけでも48種類、ねずみ色(グレー)に至っては100種類もあると言われていたそうです(48とか100というのは例えであって、実際にはそれ以上の色があったとか)。

今年のイチゼロイチイチイベントのテーマは『グレー』ですが、グレーとひとくちに言ってもその色味は無限にあります。まったく色味のない無彩色のグレーでも、白に近いグレーから黒に近いグレーまでグラデーションがあり、そしてその周囲には青味のグレーも赤味のグレーも黄色味のグレーもある。無機質なようにも聞こえる『グレー』の世界ですが、様々な色味のある、微妙で多様性のある世界をお見せできたらなと思っています。

グレー画像-5

個人的には最近、みんな白黒つけたがりすぎているのかもな、なんて思っています。インターネットやSNSの発達によって、みんなが自分が『白』だと思っていること、『黒』だと思っていることを簡単に発信できるようになった。それはいいことなのだけれど、一方で自分と違う価値観の人との違いが明確になってしまったんですよね。「人のものを盗ってはいけない」というような広く一般に共有されている価値観以外の、個人的な価値観は、共有できる人もいれば、正反対の価値観を持っている人もいるわけです。だから「私とあなたは価値観は違うけれど、お互い尊重しましょうね」という、自分から見ればグレーな部分を許容することをしないと、どこまでも対立してしまいます。

色々なカラーの人がいて、それぞれの人たちは『自分から見ると』透き通った彩度の高い色の人もいれば、グレーが混ざった色の人もいる(他の人から見るとグレーの濃さが違って見えたりする)。そんなまさに『色とりどりでグレー』な社会で、私たちは他者に寛容になれたらいいなと思いながら、10月14日に開催するイベント、イチゼロイチイチの準備を進めています。

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