不安な僕⑥

不安な僕⑥

2022年10月22日

メンバーコラム

こんにちは、のりかつです。

これまで学生時代の話を何回かに渡って書いてきましたが、僕は今年で社会人になってちょうど10年になります。転職も2回して、今は企業向けにメンタルヘルスサービスを提供している会社に勤めています。30歳の時、これから自分は何をしていきたいんだろう?と改めて考え、もっと心に近い仕事がしたいと思いました(当時は全く違う業界にいました)。少しずつ変わってきているとは思いますが、どうしてもビジネスの場では心の問題がないがしろにされてしまいます。けれど本当は働く上でも、生きていく上でも、心のケアってとても大事ですよね。その分野で自分ができることをしたい!と思い、今の会社で働いています。

気付けば最初のコラム(不安な僕①)から、約2年の月日が経っていました(読んで下さっている方、書くのが遅すぎてごめんなさい)。この期間に、自分もちょっとずつ変わってきたなと思っています。具体的には、強迫性障害の症状は以前に比べるとだいぶよくなりました。最初のコラムにも書きましたが、相変わらず何かが気になってしまった時は”自分の心の声に耳を澄ませる”を継続しています。これでだいぶ過剰な確認(本当はやりたくない確認)は減ったように思います。まだ強迫症状が優先になってしまって、うまくいかない場面もありますが、これはもう繰り返していくしかないなぁと思っています。2年間この方法を繰り返してきて快方に向かっているので、自分には合っている方法なんだなと思います。不安障害の症状はもうほとんどありません。

僕が強迫性障害、不安障害になった理由について、全てとは思っていませんが、親の影響が大きいだろうなと思っています。強迫について思い返すと、僕の両親はとても心配性で、常に先回りして僕が失敗することを防ごうとするタイプでした。それに実際、母親もけっこう強迫的です(日常生活に支障は出ていないと思いますが)。そういう親の元で育って、失敗に弱いなと自分で感じています。失敗に対する不安で、過剰に確認作業をしてしまうのだと思います。
一方、不安についても考えてみました。僕は小さい頃かなり感情の起伏が激しかったのですが、感情を両親に受け止めてもらえた実感があまりありません。感情でぶつかっていっても、それをスルーされる感じ。そんな中で「あぁ、感情って人に出しちゃいけないんだな」と思うようになり、次第にあまり感情を出さなくなりました。感覚的な話になってしまうのですが、外に出せない感情がずっと自分の中にあって、それがやがて不安に変わっていってしまったのではないかと思っています。

昨年(2021年)には、半年間くらいカウンセリングを受けました。強迫の症状は少し落ち着いていましたが、改めて他者を交えて自分を振り返る機会がほしいなと思ったのと、会社の福利厚生により無料だったので(笑)。カウンセリングというと、カウンセラーがすごく優しく傾聴してくれるという印象をお持ちの方が多いのではないかと思いますが、僕の担当カウンセラーはかなり厳しめでした(笑)。幼少期の自分から振り返りながら、カウンセラーからもいろいろなことを聞かれたのですが、答えづらくて少し話を逸らすと「私が聞いているのはそこじゃない」と言って、逃がしてくれませんでした。自分としてはこれまで内省をしてきた方かなと思っていたのですが、やはり自分一人では、見たくない部分には目を向けないということが無意識にでも発生してしまうんだなと思いました。逃げ道がない中で自分がどう感じているのか、考えているのかを話すのは辛いこともありましたが、これまで見えなかった部分も見ることができて、通ってよかったなと思っています。
とある場面で、「あなたが親で、なかなか泣き止まない子供の頃の自分が目の前にいたとしたら、あなたはどうしただろうね?」と言われた時はとても考えさせられました。当時の親の立場になって考えると、感情むき出しの僕を前にして、ほとほと困っていたのだと思います。自分が親だったらうまく対応できただろうか?と考えると、わかりませんでした。半年間ほぼ毎週通い、いろいろなことを話してきました。カウンセリングの終盤には、「あなた強迫性障害じゃないんじゃないの?根源はやっぱり不安だよね。」と言われました。たしかに最初は不安から始まっているし、なるほどなぁと思いました。自分一人ではできなかったものの見方や考え方を、カウンセリングを通して知ることができました。

これからも自分は少しずつ変わっていくと思いますが、まずは今の僕を受け入れてくれる人がいることに本当に感謝しています。また、心の声に耳を澄ませるのはもちろん大事だと思いますが、最近では身体の声に耳を澄ませることもとても大事だなと実感しているので、心の声、身体の声に耳を澄ませながら、進みたい方向に進んでいけたらと思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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