カミングアウトと自己肯定

2016年4月11日

コラム

こんにちは!はじめまして、こいけです。
今回は私のお話と、バブリングで最近行ったがっつりミーティングのお話をします。
バブリングがっつりMTG
私は性分化疾患という、染色体の疾患を持って生まれました。
細かい疾患名は「男性型仮性半陰陽 完全型アンドロゲン不応症」といいまして、15万人に1人の割合で発症します。
簡単に言うと、外見は女性ですが染色体上はXYの男性で、身体から分泌されている男性ホルモンが反応しなかったため女性化して生まれてきた人です。

性分化疾患自体には60種類以上あるといわれており、同じ疾患でも微妙に出方・治療法が違う人もいて、セクシュアルマイノリティにあたる人も居れば全く関係ない人も居ます。

私の場合は16歳で発覚しました。

生理が来ず、婦人科に罹ったことがきっかけで子宮と卵巣があるべき部分に男性化しなかった頃の名残である「停留睾丸」が見つかり、その後間もなく「停留睾丸摘出手術」を受けましたが…当時私本人にはすぐに告知されず、疾患名と手術名は形を変えて伝えられ手術自体は行われました。

「実は男性だった」

「子供を産むことも、宿すこともできない」

細かく言うともっと違う表現があると思いますが、アンドロゲン不応症当事者に突きつけられる現実はシンプルにいうとこの2つです。

それまで何の変哲もなく女児として過ごしてきた私にはあまりに辛い疾患名であることから、理解できる年齢になるまで待ち、成長とともに少しずつ伝えていくという配慮がなされようとしました。

ですが私の場合、両親の離婚によりそれもなくなり、私自身も自暴自棄になり、病院に行くことも薬を飲むこともやめ…自分自身というものが全く分からなくなり、「私は誰?」と暗中模索する日々が5年ほど続きました。

「私は女性じゃない。男性として生きなければいけない」という強迫観念のようなものに駆られ、一時期は男性として生活し、夜の世界で働いていたこともあります。

ですが23歳のとき、たまたま手にした漫画「性別が、ないっ!」をきっかけに
私は性分化疾患なのではないかと思い、その後自分で病院に行きようやく告知。
それからは女性ホルモンを定期的にきちんと服用しながら生活しています。

と、ここまでがざっくりとした私のライフストーリー。

いろいろありましたが、大切な家族や人生の様々な地点で出会った友人・自助グループの方々や、ずっと私に「あなたは女の子だよ」と力強く言い続けてくださった担当医の先生など、様々な方との交流が心の支えとなり自分自身も少しずつ少しずつ変わることが出来、今ではこうして自分側から発信するまでとなりました。

何も信じることが出来なかった私が、いまこうやってNPOに携わることができて、他人とちゃんと関われるようになって穏やかな自分を取り戻せたのは、粘り強く私と関わってくださった周囲の方々のおかげです。

本当に感謝しています。

そんな私ですが、バブリングに携わってからもうすぐ3か月が経とうとしています。

カミングアウトデー事業部に所属し、10月11日のカミングアウトデーに向け、あたたかい仲間と一緒にじっくりじっくり歩んでいる日々。

先日のがっつりミーティングでは、マイノリティについて文字通り「がっつり」話し合いました

実は世の中はマイノリティとなり得る要素が満ち溢れていて、それは私たちひとりひとり当て嵌まることも多く、人って数々のマイノリティ要素が集まって一人の人間なのだという発見があったり…
さらにシチュエーションやその場の空気・当事者や内容によって発し方・受け止め方も違うということも学び、より一層ひとりひとりを尊重し向き合っていくことの大切さを知ることができました。

この内容に、自分自身をいちマイノリティ当事者として照らし合わせてみたら、これは自己肯定にも繋がることだなと感じました。

もしかしたら私の考え方や受け止め方ひとつで、少し世界が変わって見えるのかも…って。

自己肯定って案外難しくて、私の場合自分で「ここまでできたら自分自身を認めてあげよう」とハードルを設けて、少しでもそれに近づかなかった場合ひどく自分を責めたりして、うまくいかないことが多々あって。

そうじゃなくて、まずは現在の自分を受け入れることが大事なんだなって思いました。

理想の姿形じゃなくてもビジョンに沿っていなくても、ここまでやってきた自分にまずは自分が「がんばったね」「今のあなたが私だね」って言ってあげることが必要かなって。

たとえば私は今、女性として生活しています。
そして自分自身を女性だと思っており、そうやって生きていくつもりです。

確かに染色体は違います。男性化しないから…という理由で社会的性を女性に寄せたこともありましたし、今後性自認がどうなるかわかりません。
もしかしたら染色体通り男性になりたいと強く思う日が来るかもしれません。

それでも、今、私が私なりに女性として生きることを選択したから、私は女性です。
私なりの女性像を生きる日々を楽しんでいます。

今はそれでいいんじゃないかなって思います。
今後ではなく、今。
過去ではなく、今です。

もし、自己肯定や、自分のセクシュアリティや人生の選択に迷っている人が居たとしたら…まずは、今の自分を「がんばったね」って受け入れてみてもらいたいと思います。

時間がかかって大変だけれど、やってみてもらえたらいいなぁ。

そうやってもし「今の自分」を受け入れることが出来たら、がんばったねって思えたら、姿形が変わらなくても、自分の選択した人生を一秒でも過ごせたら、思いっきり自分自身を誇ってください。
思いっきり褒めてあげてください。

そうやっていろんな人が楽に生きることができたらいいなぁって思います。

関連記事

Topics


new

メンバーコラム

四十八茶百鼠
四十八茶百鼠
こんにちは、ひろふみです。 印刷関係の仕事をしていると、印刷した時の色の『出方』...

2019年8月10日

メンバーコラム

柔軟そして沈静
柔軟そして沈静
グレーすなわち灰色。色としての性質を調べてみると、柔軟色や沈静色といった効果があ...

2019年7月27日

メンバーコラム

グレーなわたしたち
グレーなわたしたち
こんにちは。こいけです。 黒か白。どちらかが正義でどちらかが悪で。0か100なんても...

2019年7月14日

メンバーコラム

曖昧さをうたう色
曖昧さをうたう色
 こんにちは、網谷です。久しぶりのコラムはドラマの話から。    2017年1月期のド...

2019年6月28日

カミングアウトストーリー

ディスレクシア – 自分を受け入れるためのカミングアウト-
ディスレクシア – 自分を受け入れるためのカミングアウト-
日本語で言うと、失語症です。症状も人それぞれ違っていて、主に読書とか読み取りの情...

2019年6月17日

カミングアウトストーリー

在日コリアン – この名前で生きていく覚悟 [後編]
在日コリアン – この名前で生きていく覚悟 [後編]
あの時の、結局「ありがとう」って言わなきゃいけない感覚…。「あぁ、興味ないんだろ...

2019年3月18日

back to top