ゲイ – 自分を受け入れる覚悟
2016年2月7日
カミングアウトストーリー
ほぼ全ての友人と、家族にはカミングアウトしています。職場ではカミングアウトしている人と、していない人がいますね。
初めてカミングアウトをしたのは20歳の時でした。その頃僕は教育関係の学校に通っていたのですが、ある先生に最後の授業で「これから君たちは子供を作って、幸せになっていくんだよ」というような言葉を贈られたんです。先生が贈ってくれた「子供と幸せ」という言葉は、既にゲイであることを自認していた僕にとって、とても絶望的なものでした。当時は周りの誰にもカミングアウトしていなかった事もあり、相談もできず、一人でその感情と戦う事で、どんどん負のスパイラルにはまってしまい、「死にたい」と思ったことさえありました。ですが、その時初めて「誰かにカミングアウトしてみようかな」という想いをもったんです。
初めてカミングアウトした相手は、当時付き合いのある中では、比較的関係の浅い友人(女性)でした。この子になら否定はされないだろうなという想いもあったし、最悪拒否をされても傷の浅い相手という事もあったと思います。
カミングアウトをしようと決めたその日、僕は彼女を食事に誘いました。その後、カラオケに行き、意を決して、彼女に「話したい事があるんだ」と伝えます。ですが、色々な事が頭を駆け巡る中で、どうしても次の言葉が続かなかったんです。言いたい言いたいと思っているのに、大切な言葉の代わりに、ただただ涙が出てしまうばかりでした。そんな時間が30分程続いたのですが、それでもその友人は何も言わずに、ただ僕の言葉を待ってくれていました。
長い時間をかけて、ようやく出た言葉は、「俺、男の人が好きなんだよね」でした。
返答は「なんだ、そんなことか」。
その時の彼女のその短い返答に、心の底から救われたのを覚えています。
いい意味でかなり関係は変わりましたね。カミングアウトをした後は、どんどん距離が近づき、どんどん自分の事をオープンに話せるようになりました。つい先日、彼女の結婚式に呼ばれ、初めてカミングアウトした時のエピソードを友人代表のスピーチで話したところです(笑)
考え方が変わったというか、むしろ性格自体が変わっていきましたね。自分を受け入れてくれた人に対して安心感を感じると共に、自分も受け入れてあげられるようになりたいと思うようになったし、カミングアウトをすればするほど、少しずつ自分の心に鎧を纏っていくような気がして、強くなっていけるような気がしていました。その次に話した子は男の子でしたね。
少しクッションを挟むカミングアウトもするようになっていきました。「もしも、自分が人を殺してしまったとして、それは正当防衛だとする。その後、牢屋にも入らなければいけないかもしれないし、その友達であるあなたも変な目でみられるかもしれない。でもそれはわざとではなくて、自分という人間は変わらない。それでも友達でいてくれる?」と少し大きな事を聞いて、その反応で、受け入れてくれそうか判断したりもしていました。
両親へのカミングアウトをしたのは28歳の時でした。カミングアウトしようと思ったきっかけは、「ゲイである自分もいつかは結婚式がしたい」と意識し始めた事があります。結婚式は、やはり大切な人に来てもらいたいと思った時に、両親には絶対来てほしいと思いました。その為にはやはり、カミングアウトしなくてはと思うようになったんです。加えて、当時僕は仕事で、高齢者の方々に会う機会が多かったのですが、彼らが「自分の子供がいい年なのに結婚もしていない」と毎日のように話す姿を見て、自分の親には同じような心配をかけたくないという思いも持っていました。そして、自分の親を信じて話してみようと思い、カミングアウトしました。
この頃はかなり気軽にカミングアウトできるようになっていたのですが、今まで友人にカミングアウトする度に纏ってきた鎧は、両親相手には全く役に立ちませんでしたね(笑)。ですが、カミングアウトをする前に友人に、「おまえを支えてくれている沢山の友達、そして親と自分の事を信じろ。もし万が一否定されても、自分たちがいる」と言う嬉しい言葉をもらい、覚悟を決めました。
この時も、両親を前に30分くらいは何も言えずにいましたね。最終的には直接ゲイであると言うよりも、少しでも表現を緩和しようと思い、「俺は、女の人の事を好きになれないんだ」と言いました。それに対して最初はやはり両親もうまく整理が出来ずにいたようで、「女の子になりたいの?」等と聞かれたりもしましたが、色々と説明をし、最終的には父親に「深く悩んで自殺をしてしまったり、色々な人がいる中で、おまえが健康で、幸せに生きていけるならそれでいいよ」と言われました。
まだ今のパートナーを両親に会わせる事はできていませんが、いつかは紹介して、将来の事に関して話せたらいいなと思っています。
僕の中に常にある言葉として「大切なのは、勇気ではなく、覚悟。覚悟を決めてしまえば、全てがうごきはじめる。」というものがあります。高橋歩さんという方の言葉なんですが、自分を受け入れる覚悟がないと、やっぱり何も始まらないと思うんです。どんな人でも、この世には、その人を受け入れてくれる人が絶対います。その時に、受け入れてもらったという、生きててよかったという喜びは、これからの本当の自分自身の人生を歩む糧になるはずです。
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