レズビアン – 一緒に生きていこう、と決めたから
2016年4月24日
カミングアウトストーリー
母より先に兄に言ったんですが、兄はアメリカに住んでいるんですね。アメリカに長年住んでいるから日本よりオープンだろうと思っていても、それでもやっぱり言いにくかったです。大変でした。
兄が帰国した時に「実は話したいことがある」と言って家から呼び出して、カフェで話しました。兄はやっぱり身構えまして。お金の相談じゃないか、とか(笑)家でも話せるのになんだ、みたいな風に思ったと思います。
カフェでは、「実は私、長年付き合っている同性のパートナーがいて、一生一緒にいたいと思ってるから、ごめんね、心配かけてるね」と伝えました。
兄は「そうだったんだ。ずっと言わせてあげられなくてごめんね、言ってくれてありがとう」って言ってくれました。全然わからなかった、って。兄は若い頃からアメリカに行っていたので、あまり会話もしていなかったのですが、ちょっとびっくりしていましたね。
彼の住んでいる街にはゲイタウンもあるし、男性同士、女性同士で子供をおんぶしながら気軽に挨拶しあうような雰囲気なんだそうです。そこに20代前半で行ったから彼にとっては普通だけれど、自分の家族にセクシュアルマイノリティがいるということは、(良い悪いの話ではなくて)びっくりしたということでした。
アメリカでもたまたまその街がオープンで生きやすいだけで、国全体としてはまだまだだと思うけど、彼にはセクシュアルマイノリティの友達もいるし、もし息子とか娘がそうであっても応援していく覚悟はできている、と言ってくれました。
どんな反応をされるかはわからなかったんですが、兄との関係性は以前よりとてもよくなりました。
それから1か月後ぐらいでしょうか。家族のことでいろいろあって、母を心配させないように自分のことは言わなかったのですけれど、それが少し落ち着いた頃、私のことは心配しないで大丈夫だよ、という意味で伝えました。余計な心配を増やしてしまうかもしれないのですが、私のことがよくわからないのが一番心配なのかなと思ったので。
母の目から見て、「あなた(つばささん)は大丈夫?」というタイミングだったのだと思います。それで、「私にはこういうパートナーがいます。これからもパートナーとずっと一緒に生きていきます」と母にレストランで食事をしながらでした。最初から言おうと思っていたかどうかは覚えていないんですが…
「そうだったんだ。普通の友達で仲良くしていると思っていたけど、でもあなたが一人じゃなくて良かったわ、安心した」と言われました。
あなた一人で大丈夫かしらと思っていたけど、一人じゃないってことであればいいんじゃない、ということでした。今はいろんなそういう人がテレビにも出てるしね、と。それは少し違うところもあるんですけれど(笑)
やっぱりスッキリしましたよね。隠しごとがなくなったというか、今のパートナーとは一緒に住んで7年ぐらいになるのですが、ずっと母にはルームシェアと言っていたので。そういうこととか、交友関係のこととか、いろいろと面倒だったのですけれど、どこで何をしているのかが言えるようになりました。災害などの時もそうですし、これからは何かあっても安心してくれるのかな、というのはあると思います。
今私がいたい人といられて、それでいいならいいわ、という感じに安心はしてくれているのかなと思います。
元会社の同僚とか、すごく仲良い友達とか。ずっと通っている美容師のお兄さんとか。余談ですが、美容師のお兄さんは私はゲイだと思っていたので、分かり合えると思ったのですが、ストレートの方でした(笑)
これまでカミングアウトした友達はあまり驚かなかったけど、相手の反応はあまり考えてなかったですね。でも「カミングアウトしている友人」もいますし、「していない友人」もいます。だから、することが絶対いいとは思ってないんです。たまたま私はしたくてしただけだし、したい人にだけしています。みんなに「した方がいいよ」とは言えないと思います。
違う違う、全然(笑)何人ぐらいに言ったのかなと思って、数えてみたのですが、25人ぐらいですね。全然オープンにしているというわけではないです(笑)。
カムアウトした時は、相手に「やっぱり」って言われちゃうとショックだったんですが、誰一人「やっぱり」とは言わなかったです。私に失礼だと思って言わなかったのかもしれないですけれど。ただ、それで私のよくわからなかった部分がはっきりした、スッキリしたとみんな言ってくれました。
たまたまかもしれないですけれど、カムアウトした人たちとは以前より付き合い方は良くなっていきましたね、全員。いい意味で何も変わらないというか、今まで以上にお互い話しやすくなりました。そうなれる相手にしか言ってないのかもしれないですが。
ただ、言った時は受け入れる受け入れられないというのは考えていないですね。あとは相手が勝手に判断すれば良いのかなって。相手にも受け取る準備、っていうかドッヂボールみたいに当てちゃったらびっくりさせちゃうので、そこは様子を見ながら、「私こうなんだよ」という形で言っています。
今考えると会社勤めを辞めて、個人で仕事をするようになってから言い始めてます。前職の同僚にも、会社を辞めてからもずっと付き合っていける人たちに言っています。会社にいた時は言えなかったですね。社会とのつながりの中で相手もいろいろ困っちゃうだろうし、言いにくかったのだと思います。
これだけセクシュアルマイノリティがいても、ストレートの人たちはその存在をよくわかってないと思うんです。その方の準備ができていれば大丈夫だと思うんですけれど、私とギクシャクというよりは、相手のキャパをオーバーしてしまうと、後で面倒なことになるので。
やっぱり会社にいるとマイノリティだからって変な噂になったりとか、まだまだ偏見とか差別とか、以前と変わってないと思うんですよね。自分も息苦しくなるでしょうし。まだまだ世の中がついていってないと思うんですよね。
最近LGBTに優しい企業が増えたり、自治体によっては条例等もできていますが、私個人としては変化はあまり感じていないんです。だから誰彼構わずみんな言った方がいいよ、なんていうのは全然思わないです。でも言って良かったことも経験しているので、自分で覚悟を決めたらいいと思いますね。
この年代になると色恋の話が多いじゃないですか。結婚するとかしないとか。それで、私ね実はこうなのよっていう感じで話すと、みんなだいたい良かった、やっとスッキリした感じがする、って言われます。人を選んでは言っていますけれど。
なんでしょうね、もやもやした雲のようなものっていうか、多分ずっとここは開けないで、とか触れないでって逃げてたと思うんです。聞かれてもかわしたりしていたのが、相手としては友達なのに何も話せてない、踏み込んで話したりできないなっていうところが(カミングアウトによってスッキリする)。そう考えると普通より深い話をできる人に言っているのかもしれないですね。そんな人を選んで言っているのかもしれません。
あとは腹がすわったんです。
パートナーと9年付き合っていて、最初のころは「いつか別れるんだろう」と思うこともありました。お互いの問題もありますし。それに、以前は選択肢として男性と結婚することも考えられましたから、それは言えないですよね、腹が据わってないというか。生き方が決まるまでは言えなかった。
女性が女性と生きていく覚悟。絶対はないけど一緒に生きていこう、ということを決めてのことだったので、それなら「私こうです」って言っちゃえばいいかなみたいな。
迷ってるならしなくていい。したくなったらしていると思います。受け入れてくれることを期待、とかはしない方がいいと思いますし。思わず言っちゃった、ぐらいの感じで良いのではないでしょうか。
Topics
メンバーコラム
メンバーコラム
- 感音性難聴
- 複数人が会話している室内では目の前にいる人の話が入ってこなかったり、つまり聞きた...
2023年6月24日
メンバーコラム
メンバーコラム
- 普通養子縁組から4年
- 実は僕、社会的養護経験者の若者と2018年10月に普通養子縁組をしています。戸籍上の親...
2022年12月2日
メンバーコラム
メンバーコラム
- “5”
- 2020年よりバブリングはMISSIONを『大切な人へのカミングアウトを応援する』から『じ...
2020年4月19日
メンバーコラム
メンバーコラム
- 白日
- 「時には誰かを 知らず知らずのうちに 傷つけてしまったり 失ったりして初めて 犯した...
2019年10月7日
メンバーコラム
メンバーコラム
- あなたのためだから
- こんにちは。こいけです。 人間関係を深めたいと思う人と一緒にいると、もっと笑って...
2019年9月26日
メンバーコラム
メンバーコラム
- 『らしさ』の呪縛?
- こんにちは。ひろふみです。 まだ僕が物心のつくちょっと前、口が悪いことで有名なシ...
2019年9月9日