レズビアン – 自分で自分を理解してあげること

レズビアン – 自分で自分を理解してあげること

2016年1月9日

カミングアウトストーリー

cos of-01

(写真左)
ーーカミングアウトした相手はどなたですか?

祖母です。

ーーいつ頃、カミングアウトをしましたか?

25歳の時、当時のパートナーと一緒に住むことになって家を出ていくことに。
その少し前に、祖父が入院していて、命が危ないという状況があって、祖母とはとても仲が良かったので、もし祖母がそうなったときに言わないまま亡くなってしまったら、すごく後悔するって思ったんです。

ーー他の家族の方にはカミングアウトしていたんですか?

家族全員と仲が良かったので、家族にはそれぞれのタイミングですでにカミングアウトしていました。友達でも、いいなと思った人にはすぐ言っていました。
最初は「自分はこうなんだよ」っていう告白というより、「自分はこうなんだけど、どうしたらいいかな」という相談の意味が強かったと思います。

ーーおばあさまにはどんな言葉でいいましたか?

「女の子が好きなんだよ」「今、付き合っている人がいて、これから一緒に住むんだよ」って伝えました。

ーーそれに対して、どんな反応がありましたか?

祖母は男性に対して潔癖症のようなところがあったので、最初は同じように男性が苦手だからだと思われましたが、「私は男性が苦手だとか、嫌いなわけではなくて、ただ恋愛対象が女性なんだよ。私にとってパートナーが女性であることが自然なことなんだよ。」ということを伝えたら、よく理解してくれました。
その後、家を出る直前になって、(すでに結婚していた)姉みたいに結婚して出ていくならいいんだけど…と寂しそうに言われたことがありました。家を出ていく寂しさもあったと思うんですが。
それに少し傷ついたりしましたが、好きな人と一緒にいることができて今すごく幸せなんだよということを伝えたら、楽しいのが伝わったようで「何かそういうのも楽しそうだね」と言ってくれて、その後もパートナーのことを孫の私と同じように可愛いがってくれました。

ーーおばあさまは日頃から理解がある方でしたか?

元々、仲が良くていろんな話をしていた中で、ハイカラだなと思うことがあったり、祖母自身が若い頃の話の中で、よく仲の良い女の子の話をしていたこともあって、女同士で仲が良いことに抵抗感がなさそうだと感じていたので大丈夫だろうと。

ーーそんなおばあさまも最初は戸惑いのようなものがあったのでしょうか。

以前、増原裕子さんが「カミングアウトは点ではなくて線」とおっしゃっていましたが、カミングアウトは、やはり一回で完全に伝える、理解してもらうというものではないと思います。むしろ、知らないことへの戸惑いや驚き、人によってはショックなのかもしれませんが、そこから始まるというか。
レズビアンである自身も自分のことを肯定するのに時間がかかったので、カミングアウトされた側も段階を経て受け入れていくものなんだと思いました。

ーー理解のあるご家族ですが、壁を感じたことは?

家族の中ではすごく理解があるけど、世間に対してはまだ難しいと思いました。
姉が結婚した時は親戚に報告するけど、自分がパートナーと結婚したり(提出はできないが、婚姻届を書き二人の中では結婚したという認識で身近な人たちに伝えていました)、同棲しても、両親はそれを人に言わないということに気付いて卑屈になったこともありました。
自分は家族に理解してもらえて、これまで大変なことは特にないと思っていたけど、やはり細かいところで異性愛者の人たちとは違うんだなと思い知りました。

ーーカミングアウトでこれまで否定的な反応をされたことはありますか?

自分自身のカミングアウトではなかったのですが、唯一、パートナーのお母さんから言われた言葉が衝撃的でした。「みんなが幸せになる生き方をしてね」って。
また、別の機会にもパートナーがお母さんから、傷つくような言葉をよく言われていて、電話で言い返してやろうかなと思ったこともありましたが(笑)、色々考えてみて、自分自身のことでも受け入れるのに時間がかかったわけだし、パートナーのお母さんの立場だったら?と自分に問いかけて想像してみた時に受け入れられないことも理解できました。
分かってもらえたから良い人、分かってもらえないから悪い人というではなくて。その人が悪いわけでも、私たちが悪いわけでもないですよね。

ーーカミングアウトするときに気を付けていることは?

カミングアウトするときの言葉は、人によって変えていました。どういう言葉なら分かるかな、ゲイっていう言葉を知らないかな、とか。
次第に、言うことで相手の負担にならないか、言うこと、または言わないことで(相手や状況によって)自分の負担にならないかも考えるようになりました。それから、言いたいと思う相手には「今!ここで言おう!今なら言える!」というタイミングがありました。逆にそのタイミングがなければ言う必要ないかなと。あまり気負わないでいることで自分に変なプレッシャーをかけないようにしてきたかな。

ーーこれからカミングアウトしようと思っている人に向けてアドバイスをお願いします。

皆それぞれ環境とか違うと思うけど、私は伝えたい人、分かってほしい人には伝えてきました。
万が一、違うふうにとられても分かってもらいたい人には何回でも話をしてきました。どんな言葉なら通じるだろうって。それでも、どうしても理解してもらえない時、それはもうその人の問題、人生だからしょうがないって思います。まずは、自分で自分を理解してあげることが一番大事。そうしたら「自分はこうなんだよ。それで、こんな思いをしているよ。」ってゆっくりでいいから伝えたらいいと思います。

Topics


メンバーコラム

感音性難聴
感音性難聴
複数人が会話している室内では目の前にいる人の話が入ってこなかったり、つまり聞きた...

2023年6月24日

メンバーコラム

普通養子縁組から4年
普通養子縁組から4年
実は僕、社会的養護経験者の若者と2018年10月に普通養子縁組をしています。戸籍上の親...

2022年12月2日

メンバーコラム

“5”
“5”
2020年よりバブリングはMISSIONを『大切な人へのカミングアウトを応援する』から『じ...

2020年4月19日

メンバーコラム

白日
白日
「時には誰かを 知らず知らずのうちに 傷つけてしまったり 失ったりして初めて 犯した...

2019年10月7日

メンバーコラム

あなたのためだから
あなたのためだから
こんにちは。こいけです。 人間関係を深めたいと思う人と一緒にいると、もっと笑って...

2019年9月26日

メンバーコラム

『らしさ』の呪縛?
『らしさ』の呪縛?
こんにちは。ひろふみです。 まだ僕が物心のつくちょっと前、口が悪いことで有名なシ...

2019年9月9日

back to top